ピアス
ピアスを開けた
鋭い針で
冷たい痛みがじんじん変わる
でも大丈夫
ちゃんとケアしてあげれば
そのうち痛みは和らいで
綺麗なピアスがあなたに咲くよ
◇
大丈夫
流せない涙があっても大丈夫
大丈夫
大丈夫だよ
見せない涙があっても大丈夫
大丈夫だよ
どうか安心して
明日はきっとあなたに優しい
◇
お別れ
ドアを閉めるのが怖かったんじゃなくて
声が聞こえなくなるのが怖かった
分かってたけど
ドアを閉めることの意味を
◇
直線距離
あの子の横で喋ってた
そうすればきっと気付いてくれるから
あの子の横を通り過ぎた
そうしないときっと気付いてしまうから
急いで
急いで
◇
飛行機
2人で空を見てからもうそんなに経つのかぁ
今では空を飛ばないと会いに行けないような距離
空を飛んでも会えないような距離
◇
棘
綺麗な花にはトゲがあるし
綺麗な心にはトゲが刺さるし
きみの心に刺さったトゲを僕が残さず食べてやる
これでどうだろう
また元気に咲くかい
◇
アンサー
見つめてた 海を
好きだって言えなかったあの日
あれからどれだけの時間が経ったんだろう
見つめるしかなかった 海を
だってあなたには
だってあなたには
打ち寄せられた1通の手紙 どうしてかふやけていた
ただ一言「元気です」が浮かぶ
◇
フェイバリット
あなたが好きだから 星ひとつ
あなたが大切だから またひとつ
◇
次の一手
それは定期的か不定期的か
言っといてくれよエンカウント
それは偶然か必然か
それとも何かのあやまりか
苦くて渋い罪悪感と酸っぱい気まずさの中で
今
きみと対峙する
◇
レンズ
例えばわたしがいなくなったら
例えばあなたがいなくなったら
世界は一層愉快だろうね
世界はきっと終わってしまうね
◇
吐く思撤回
伝えたかった言葉出し切って
やっぱり切り取りごみ箱へポン
したいしたいぜひしたい
出ちゃったもんは戻せない
前言撤回発言撤回
きみが好きなんて大嘘です
付き合いたいなんて微塵もないです
きみとは友達でいたいんです
昨日までなら撤回できた
◇
橋の上
なんで私だったの
どうして私だったの
冷たい空気が沈黙を呑み ただただ私の頬を打つ
ありがとう も
さようなら も
始まらない対話
沈黙はアスファルトの上で 車に轢かれて潰れていく
なんで私だったの
なんで私だったの
ごめんね
どうして
◇
削除とエラー
修正液は跡が残るし
消しゴムだったら黒くなるし
あぁもう
一体
どうやって消せば忘れられる
私の頭はデジタルじゃない
英数字ひとつで クリックひとつで
あったことから忘れられるなら
そもそもあなたを愛していない
◇
羅列
10月
夕暮れ
駅のホーム
恋の痛み
なくしたラブソング
10月
人ごみ
キンモクセイの匂い
冷たい風
満員電車に映る顔
10月
古傷の感覚
透き通る空
手放した決断
断る勇気
10月
ぴりぴり走る鋭い痛み
じくじくうずく鈍い痛み
◇
ショータイム
リュックは大きく バッグは軽く
ノープランなのがカッコいいでしょ
正義のヒーローお姫様助ける
メガホン取るのがクールでしょ
リュックとバッグで華麗にトリップ
真犯人は私でしょ
食べたばっかのゴールドコイン
電車賃にしていざショータイム
◇
星占い
お星さま、お月さま、私の願いを叶えて
あの子と私はどうなるの
あの子は何を思ってるの
これから2人はどうなるの
お星さま、お月さま、どうか教えて
あの子と私は手を繋ぐの
それとも手は離れていくの
それとも
今この時を振り返ることすら嫌になるの
◇
わたしをわすれないで
わたしをわすれないで
春には白い花を
夏には青い花を
訪れを拒んだ冬には秋の切れ端を縫い付けて
繋いで
わたしが居たことを繋いで
思い出して
わすれないで
じゃないと 本当にいなくなるから
いなくなるのは とても怖い
◇
続・1日
今日の夜ごはん
きみがアイスを買ってきた
これで明日も
うん そうだね
◇
点と線と
いつもの場所から
いつもの面子が散らばっていったのは
いつ頃からだっけなぁ
冬の夜 刺す風
頭の上で星が散らばる
あぁ
もしかしたら場所移動しただけなのかな
◇
警鐘
あおしんごう
を
渡る人たちを見て
疑問に思う人を撥ねないで
あかしんごう
で
止まっている人たちを見て
怖がる人を轢かないで
その目で見える点滅は
どんな色をしているの