短歌・2ページ

いつまでも上書きできぬ恋ならば保存もせずに削除もせずに

エアコンのきいたソファーでまどろんで何を見ようか明日誕生日

つゆに浮くクラゲのような天かすをすくって食べる器の宇宙

イヤーマフ、体育座り、爪を研ぐ みんなうるさいあっちへ行って

好きな人はいないけどね、いないけど『好き』を殺した人ならいるよ

空も星も天使も花もなんでも喩えであって亡くなる事実

黒色は全てを否定するようで、だから一層あなたのことが

眼鏡を外したら滲む色、形 世界の脆さわたしの仕組み

きみの恋できれば盗みたかったよその手の指輪そういうことさ

あなたが好きすぎて変態になりそう口からもう内臓出そう

 

マンションの(運動会か)屋上で(あの時の娘が)「死に往くとはね」

『運命』がもしあるのだとするならばあの子がなにをしたっていうの

壊したいキミの世界のひとかけら牙を向きささやかに噛み付く

明日があるのは生きている人だけ9月6日の朝に気付いた

始まりも終わりもない気持ちだから次の恋へと進めず、晩夏

昨日のグラスに飲み残した懺悔2人以外は誰も知らない

秋の隅っこで忘れかけてた夏の恋を続けてもいいのかな

かなしいね、かなしいね、かなしいね、かなしいことなんてないんだけどね

半袖の時も長袖の時もきみが好きだからダメになってく

冷たい雨は火葬場の唄となる寒さを逃れ辿り着く哀

 

空になる部屋と本棚喋り出し私がここで生きた証を

ねぇきみ あいつがこっちへ来る前にどうか私とどーにかなって

金曜の終わりと土曜の始まりを繋ぐアイス、蓋開ける夜

つかれた、なきたい、この1錠で夜に沈んだまま逝けはしないか

人間の指で潰され息絶える小さい虫になりたくて今

電気代どちらが得か考える余計なことを忘れる為に

てきとーな服を着ててきとーな化粧をして私、何処へ往くの

言葉にも満たない嘘と解るから感情もなく笑っていたい

必要ないよ、髪をほどいたときの女の子の匂いなんてもう

あの人の代わりに誰もなれなくてアイを失い星になったの

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